【第5回インタビュー/平野佳寿投手(京都産業大)】
今秋ドラフト要注目!
『関西六大学リーグの大エース』から『大学球界No.1投手』へ
Yoshihisa Hirano #11
取材・構成・写真/島尻譲
写真/松倉雄太
個人的好みもあるのだろうが、とにかく観ていてワクワクする。
非常に楽しい気分にさせてくれる投手である。
上背こそあるが、屈強な体格をした投手ではない。
だが、その細身の右腕は『関西六大学の大エース』と呼ばれる。
理に適ったスムーズな重心移動、しなやかな腕の振り。
そして、小気味良い投球リズムで凡打の山を築く。
ストレートの最速は147`と言うが、絶対にそれよりも速く見える。
“球速”よりも“球質”が大事であることを教えてくれる投手だ。
高校時代は甲子園を2度経験したものの
故障(腰痛)などの影響もあり、2番手投手であった。
しかし、京都産業大入学後は体も徐々に強くなる。
登板機会にも恵まれて着実に成長。
1年秋のデビューから
1勝、3勝、5勝、6勝、6勝と白星を積み重ねて、リーグ戦通算21勝。
言うまでもなく、プロ垂涎の好投手だ!
平野 う〜ん…そうですね。なめていたとかは絶対にないです。ただ、野球はこういうことがあるんやなと。まぁ、色々な伏線があったんですけどね。延長戦も考えたし、次の回に金刃(憲人投手)から始まるのと赤松さん(真人外野手/05年より阪神)から始まるのとではだいぶ違いますし。だから、くだらん出塁(四球や不用意に安打を浴びる)は嫌やったんです。
−打たれたのはスライダーやったよね。試合直後、悔いが残ると言っていたけど。
平野 一番、ストレートに自信を持っていますけど、変化球も一か八かのボールではない。どっちも打たれたら悔しいんですけど…ストレートを打たれたら「しゃあない」と思えるところもありますからね。あと、あの時は本当はストレートが投げたかったんです(苦笑)。でも、北村さん(宗治捕手)のサインがスライダーやったんです。北村さんも考えや根拠があって、スライダーのサインを出していたので不満はないんですけど。言い方は難しいんですけど…なんとなくスライダーを投げてしまったようなところもあったんで。
−結果論と言うか、仮定の話しになってしまうねんけど。もしもあそこで同じスライダーを投げるにしても、プレートを外したりとかで一呼吸でも置けば打たれなかったかも知れないやんね。
平野 まぁ、こればっかりは分からないですけどね(苦笑)。ホンマに野球の恐さ、一球の大切さを知りました。今後の糧にします。
マウンド上で隙を見せない
関西で通用することは分かった
−3年間でリーグ戦21勝を挙げた訳やけど、自信の程は?
平野 自分1人の力で勝った訳じゃないですからね。でも、自信は付いています。
天狗になっている訳ではないですけど「打てるもんなら打ってみろ!」というような感じには自然となって来ましたね。
−「俺は平野やぞ!」(笑)。調子が悪くても、顔と名前で抑えられるみたいな。
平野 いやいや、そこまではないですけどね(笑)。せやけど、例え調子が悪かってもマウンド上で隙を見せない。普段と同じようにと言うか、いつも同じ精神状態でマウンドに立てないとダメですよね。それはいつも意識しています。
−2回生の春に神宮(大学選手権)は行っているけど、残念ながら登板はなし。
平野 森田さん(竜平投手、現・和歌山箕島球友会)が良かったですからね。(×東北福祉大に0-1で惜敗も完投)
−神宮への想いは?
平野 関西で勝つ難しさというのはありますけど、関西で通用することは分かった。特にデータが少ない他リーグの学校でも自分らしい投球が出来るようになりましたから。神宮へ行きたいというのは自分をアピールしたいという気持ちよりも「京産大というチーム」がどれだけ全国で通用するかという意味で出たい。その為に今は野球をやっている訳ですから。
−そこで平野君がするべきことは?
平野 当然、1戦目は先発で。完投もしたいですね。2戦目も状況によっては行きますし、仮に3戦目までもつれても行く準備もしますし、行く自信もあります。とにかく任された試合は必ず勝つ。そりゃ、完璧に抑えられるに越したことないんですけど、相手も必死な訳ですからね。ヒットを打たさない、点をやらないという気持ちは忘れませんが、最終的に「勝ったら良いんや」という余裕も持ちたいです。
−なるほどねぇ。球種を増やそうとかは考えている?
アッという間にキャッチャーミットに吸い込まれる感覚
古田、阪口と投げ合いたいですね
−実際、ボールが走っている時っていうのはどんな感覚なん?
平野 ホンマに感覚的なんですけどね。軸足(右足)から踏み出した左足にグワーッと体重がシッカリ乗って、ボールが指先から離れた瞬間に思い描いた軌道に沿って、アッという間にキャッチャーミットに吸い込まれるみたいな感じですね。逆にどんなにスピードガンで数字が出ていても、悪い時はシュート回転したりして、キャッチャーミットにユックリ吸い込まれる。凄い長い時間に感じますよ。
−そういう感覚は凡人は経験したことがないわ(苦笑)。
平野 ホンマに感覚的なものですよ。
−それが確実なものになりそうでならへん。野球の面白いところかな?
平野 そうですね。いつもそうやったらメッチャ楽しいんですけどね(笑)。
−また話しは変わるけど、高校時代は2番手投手。大学に入って伸びた理由は?
平野 まずは高校時代は体が弱かったんでしょうね。それが少しずつですけど、体が強くなって来た。そして、京産大というチームで指導者・仲間・環境・登板機会に恵まれたというのも大きいですね。
−それにしても、当時の鳥羽高は同学年に好投手がズラリ。
平野 古田(大将投手/現・佛教大)も阪口(大介投手/現・朝日大)もいましたからね。投げ合ったことがないから、投げ合ってみたいんですけどね。
−ライバル意識は強いんかな?
平野 まぁ、自分は故障(腰痛)とかもあったんで、ちょっとずつ力を付ければ良いと思っていました。あまり古田がエースだから悔しいとかも思わなかったですよ。古田の良さというのは素直に認めていましたし。ただ、これからやぞ。まだ負けてへんぞという気持ちは持っていました。阪口に対しても一緒です。誰が上とか下とかはなかったですし、今もそれはないですよ。
〔編集後記〕
仕事柄、仕方のない部分もあるのだが。
僕自身、実は選手の力量・技量うんぬんを語るのはあまり好きではない。
と言うか、僕みたいなスタイルのモノカキは
選手のテクニカルな面を語ってはイケナイのかも知れない。
やっぱり、選手と何度も接することで特別な感情も生まれて来るのも事実。
それによって冷静な分析が出来なくなることもあるはずだ。
でも、平野に関してはインタビュー中にもあるように“一目惚れ”に近い状態。
あの時の胸の高鳴りと興奮は今でも忘れられない。
まぁ、最も大きいのが僕のアンテナと波長が合った。
要するに僕の好みの投手であったからなんやけれども。
多分、1度しか観る機会がなかったとしてもゾッコンであったと思える。
僕が平野を推す理由。
圧倒的な威圧感を持っているとか快刀乱麻というイメージはない。
非常に感覚的なのだが…試合の流れが読め、主導権を握れる投手。
だから、走者を背負っても動じることがないように映る。
いや、むしろ走者を出した時の投球の方が
“平野の真骨頂”と言えるのではないだろうか。
京都産業大の良き伝統なのか?
本当にこの学校でエースを張った投手は粘り強さが際立っている。
この1年間だけではなく、当分の間、楽しませて貰うことにしよう。
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《平野佳寿(ひらの・よしひさ)プロフィール》
1984年3月8日生=21歳 184a・75`
右投右打 血液型/O 出身地/京都府
小倉小(小倉リトルズ/軟式)−北宇治中(軟式)
−鳥羽高−京都産業大
小3より友達に誘われて、野球を始める。
当時は二塁手のポジションに就くことが多かった。
中学進学後、本格的に投手転向。
宇治市の大会準優勝が最高成績。
高校時代は2度甲子園出場を果たすが、共に2番手投手であった。
※00年センバツと01年センバツ、
00年選手権は故障でベンチ入りせず
しかし、京都産業大入学後。
1年秋のデビュー以来、大ブレイク!
3年秋まで順調に白星を積み重ねて、リーグ戦通算21勝。
勿論、関西六大学リーグ現役最多である。
オーソドックスなタイプの上手右腕。
球種はストレート、カーブ、スライダー、フォーク。
今秋ドラフトで注目される大学球界屈指の好投手。
04年6月 関西5リーグ対抗戦(藤井寺球場)
関西六大学リーグの連盟ユニフォームを着用した平野