【第7回インタビュー/岩田稔投手(関西大)】 取材・構成・写真/島尻譲
名門・関西大を背負って立つ本格派左腕
今年は「勝って目立ちたい」
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個人的にズーッと注目していた。
高校時代から好投手として名を馳せていたこともあったが、
02年の総合関関戦で
(毎年6月開催/関西大と関西学院大の体育会各部による対抗戦)
細身な左腕の好投を目の当たりにしていたからである。
その後、岩田稔はリーグ戦でも素材の良さを見せるも
肘や腰の故障で登板機会は決して多いとは言えず。
が、昨春辺りから
背中、腰、太腿、ふくらはぎなどが見違えるように逞しくなっている。
そして、昨秋。
勝星にこそ恵まれなかったものの(2勝3敗)
シーズンを通して、中身の濃い投球内容。
名門・関西大に
“MAX149`左腕・岩田在り”の猛アピールが始まったのである。
Minoru Iwata #14
※今回のインタビューは
05年1月7日と2月10日の取材時をまとめたものです
1球の大切さを知った
体重10`増で 球速も10`増
−練習前の忙しい時に申し訳ない。時間は大丈夫かな? 出来るだけ早目に切り上げるようにするんで。
岩田 はい、大丈夫です。
−もうだいぶ取材慣れはしているんちゃうかな?
岩田 いえ、そんなことないです。緊張します。
−意外やなぁ。まぁ、僕の取材はいつも“ざっくばらん”やから(笑)。気楽に喋って貰えればOKやから。
岩田 はい、分かりました。
−じゃあ、まずは昨秋のリーグ戦から振り返って貰いましょう。
岩田 シーズンを通して、フルに投げたのは初めてのことやったので(苦笑)。後半は体がシンドかったですね。
−黒星3つは全て延長戦に突入してのものやったけど。
岩田 勝っていたら少しは楽になった部分もあったんでしょうけど、負けるとホンマに堪えます(苦笑)。まぁ、打線の援護うんぬんではなく、自分が点を取られたから負けたんです。長いイニングを放れたということは自信になりましたけど、反省せなアカンところですね。
−他に学んだところや反省するところは?
岩田 技術的なところはあんまり分からないんですけど、とにかく初球を大事に。あとは同じようなことですけど、1球の大切さですね。同志社大戦(10月10日・南港中央)の延長13回、文哉さん(阿部内野手/同志社大→ホンダ鈴鹿)に打たれたサヨナラホームランなんか…ボールカウント2-0からインコースを狙ったスライダー。ボールにするつもりが真ん中に入ってしまった。そういう状況判断、集中力。そんな部分ですね。
−ストレートで勝負したかった?
岩田 いや、そういう意識はなかったです。でも、一番恐いバッターやったのは分かっていたんですけどね。
−そうやねぇ、阿部文ちゃんやもん(苦笑)。せやけど、課題やった制球は自信が付いて来たんちゃうかな?
岩田 いや、まだまだですよ(苦笑)。でも、夏のハワイ遠征(関西学生リーグ選抜)の時に三木田さん(敬二投手/近畿大→シダックス)から「とにかく腕を振れっ!」とアドバイスされたのは大きかったです。変に腕が縮こまらなくなったと思います。
−ほぉ〜、なるほどねぇ。で、飛躍のキッカケは?
岩田 飛躍してないですよ(笑)。
−この1年で体もゴッツイ大きくなったし。
岩田 これまでは体が弱かったですからね。故障も多かったですし。まぁ、高校生の時から続けて来たウェート・トレーニングの成果がやっと出て来たんかなという感じです。
−故障は肘と腰やったね?
岩田 そうですね。腰痛は高校の時にもあって。肘は2回生の秋に体も出来ていないのに飛ばし過ぎて。ネズミです。手術しました。
−もう不安はないんかな?
岩田 当然、ケアはしていますけど、心配はありません。大丈夫ですよ。
−体重はどれくらい増えたん?
岩田 約10`です。
−球速も増したよねぇ。
岩田 技術的に何かをプラスしたとかはないんですけど、球速も10`上がりました。多分、下半身がドッシリと安定するようになったからだと思います。
−これまでに全国大会の経験は?
岩田 自分が好きでやっている野球ではないんですよ(苦笑)。小学校1、2年の時は空手の全国大会で優勝しているんですけど。
−空手で2連覇!? 小学生の時やから“型”かな?
岩田 いえ、“組み手”なんです。まぁ、当時は空手で強くなりたいとか、一番になりたとかではなく、優勝賞品の“お菓子セット”が目当てやったんですけどね(笑)。
−“お菓子セット”欲しいわ(笑)。じゃあ、岩田君は優しそうやけど、怒らせたらアカンねんなぁ。
岩田 ケンカは一度もしたことがないんです。
−そうかぁ、そういう精神も教えられているんやね。ところで…病気(糖尿病)のことなんやけど。
岩田 まぁ、知っている人は知っていることですからね。自分でも隠すつもりはないです。ハンディだとも思っていませんし。
−高校生の時に発症したと聴いたけど。
岩田 2年の冬です。風邪を引いて、長引いていたんです。食欲もなくなって、体重もドンドン落ちるし。で、検査を受けて分かったんですよね。どうやら膵臓にウィルスが入ったのが原因みたいなんですけど。
−そうやったんや。
岩田 その時は目の前が真っ暗になりましたね。もう野球出来なくなるんちゃうかなって。でも、負けへんぞという気持ちを持っていましたし、周囲のみんなにも凄い励まされました。それにプロ野球選手でも糖尿病の人もいると聴いたことがありますし。
−もう食事制限とかは特にしていないみたいやけど。
岩田 インシュリンは打たなダメですけど、食事はちょっと気を付けるくらいです。。
−せやけど、それで体もトレーニングで大きくなっているんんやから、ホンマに立派やわ。頭が下がります。
岩田 とにかく一生、付き合って行かなくてはならない病気。それでも、ちゃんと本格的にスポーツが出来るんです。同じ病気の人にも勇気を与えられるようになりたいですね。
−是非、頑張って欲しいものです。で、また、話しは変わるんやけれども。岩田君のグラブって、ピッチャー用としては小さいよね?
岩田 よく気付かれましたね(笑)。高校時代から変えていないです。黒木モデル(知宏投手/千葉ロッテ)なんですよ。手型も取っていないので、右と左が違うだけで大きさは全く同じやと思います。自分は小さい方がシックリ来るんですよ。
それから、しばらくの間、“グラブ談義”が続く。
岩田 今年は新しいグラブを頼んでいるんですよ。そろそろ届くと思うんですけど。
−どんなヤツなんかな?
岩田 黒木モデルは変わらないんですけど、ウェブのところに背番号14のシャドーが入ったヤツです。昨秋、染田さん(賢作投手/同志社大→横浜)がリーグ戦の途中から使い始めたじゃないですか。「あっ、カッコええなぁ。自分も使いたいなぁ」って(笑)。プロ野球でも最近、多いので前からそういうグラブを使いたいなとは思っていたんですよ。それで今回、メーカーの方にお願いしたんです。届くのをメッチャ楽しみにしています。
−では、僕も岩田君のニュー・グラブを。いやいや、リーグ戦でのピッチングを楽しみにしています。頑張って下さい!
岩田 はい、恥ずかしくないピッチングをします。
昨夏。
プロ野球のフレッシュ・オールスター(大阪ドーム)。
試合前に内野スタンドをフラフラと歩いていたら
「こんにちは、お疲れ様です」
という声がした。
下(前方)の観客席で
Tシャツ・ジーンズ姿の青年が立ち上がり、
深々と頭を下げて来る。
僕はそれが岩田だと気付くのに少し時間が掛かった。
なんせユニフォーム、ブレザー姿しか見慣れていないし、
岩田と特別に親交があった訳でもない。
リーグ戦時に“囲み”や“ぶら下がり”で
一取材者として少し話しをしたことがある程度。
それにも関わらず、岩田は丁寧な挨拶をしてくれた。
僕が好感を抱いたことは言うまでもないだろう。
本格派左腕・岩田も魅力的ではあるけれども、
人間・岩田はもっと魅力的なのだ。
《岩田稔(いわた・みのる)プロフィール》
1983年10月31日生=21歳 178a・83`
左投左打 血液型/O 出身地/大阪府
庭窪小−庭窪中・北陵中−大阪桐蔭高−関西大
小1より庭窪スポーツ少年団で野球を始める。
投手をするようになったのは小3から。
中学入学後、門真シニアに入部。
高校進学後は1年秋からベンチ入り。
注目の左腕であった。
名門・関西大入学後は肘や腰の故障に泣いたが、
地道なウェート・トレーニングで克服。
昨秋は増田陽紀(→トヨタ自動車)、黒川隆年(→ホンダ鈴鹿)の
実績のある先輩左腕投手を押さえて、エース格となる。
MAX149`のストレートを軸に、
カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップが効果的。
スケールの大きなプロ注目の本格派左腕である。
※岩田投手の持病に関する記載につきましては、本人及び関西大サイドから許可を得ております。