【第9回インタビュー/金刃憲人投手(立命館大)】             取材・構成・写真/島尻譲

ラストイヤーを迎えた実力派左腕
出会った人や応援してくれる人の為にも頑張りたいっ!

初めて金刃憲人の取材をしたのは今から3年前。
ちょうど金刃が立命館大へ入学する直前である。
あまり口数が多い方ではなく、感情も表に出さない。
「物静かな子なんやな」というのが第一印象である。
しかし、野球に関してはハッキリした意思を持っていた。
高校時代(市立尼崎高)は甲子園出場こそないが、
AAA代表にも選出された実力者は臆することなく
「甲子園組には負けないっ!」と明言して
その言葉通りに金刃は下回生時から活躍。
大学球界を代表する左腕へと成長した。
そして、今、金刃は大学野球生活ラストイヤーを迎えた。
寡黙な実力派左腕は何を想い、マウンドに上がるのだろうか?
Norihito Kaneto #19

※インタビュー 06年1月28日 立命館大野球部寮にて

副将就任はプラス 対話を大事にしたい

−ドーモ、ごぶさた。試験が終わったばかりなんだよねぇ。
金刃 はい、そうです。やっと終わりました(笑)。
−試験中、練習の方はどんな感じでしていたんかな?
金刃 練習は室内練習場があるので夜にシッカリとやっていました。
大体、3時間くらいは。走って、投げて、ウェートやってという感じです。
投げることに関しては遠投までとは言わないですけれども、
50〜60mくらいを低い球筋で投げて、良い感触だと思います。
−じゃあ、なかなかペースとしては良い感じなんやね。
せやけど、早いもので金刃君も大学野球生活ラストイヤーやもんなぁ。
どう、短かった?長かった?あと、全国大会も経験したけれども。
金刃 やっぱり、短いですね。アッという間に4回生になっちゃいました。
神宮(大学2回生春/大学選手権)には行けましたけれども、
負けたこと(初戦敗退)として残っているので悔しいの一言ですね。
自分のことだけでもないですからね。
−そうかぁ…チームとしても悔いが残ると。
で、新チームでは副将にもなったんやけれども、心掛けていることは?
金刃 やっぱり、チームとして勝ちたいので対話を大事にしています。
自分はあまり口に出すのは得意な方じゃないですけれども、
やっぱり、口に出さなきゃ分からないことも多いのも事実。
だから、学年とか関係なく、お互いの意見を言えるように。
それで『コイツもそう思ってるんや、そう考えてるんや』
と分かる。そういう環境を作ることでチームが良い方向へ向くと
−エースでありながら、チーム全体のことも見渡さなアカン立場。
メッチャ大変だとは思うけれども、プラスにはなっているんかな?
金刃 はい、プラスになっていますよ。
あと、このオフに父親(朝則氏)の関係で鳥取の高校で
指導する機会があったのもホンマに良かったですね。
−具体的にはどんなところが?
金刃 元々、教えるのは好きな方なんです。
まぁ、押し付けるのではなく、こういう考え方・理論もあるよって。
また、技術面ばかりでなく、練習環境とか心構えとかも。
無意識なんでしょうけど道具がそこらで散乱しているのは注意しました。
実際のプレーと関係ないかも知れないですけど、
野球でとても大事なことだと教わって来ましたし、そう思っていますから。
−ホンマにそうだよねぇ。
金刃 はい。だから、また、行ってみたいですよ。
高校生たちがどれだけ成長したのかも見たいですし、
あとはホンマにたくさんの人と出会えましたから。
こんなに自分のことを応援してくれる人がいてるんやと強く感じました。
その人たちの為にも頑張って、今年はとにかく結果も残す。
そして、良い気分で再会したいですね。



ライバルの存在が具体的に
ノーヒットノーランは調子が悪かった

−今年は当然、個人的な進路でも大事な年になるやんね。
実際、新聞とかでも取り上げられる機会も多いんやけれども。
金刃 以前は「載っていたよ!」と教えられるとチェックしてましたけど、
最近はそんなに気にしていないですねぇ。
取材も受けていないのに書かれていることも多いですし(苦笑)。
あと、取り上げられている程、自分は評価されていないと思っています。
−ここはぶっちゃけで聴くけれども
それはトナリ(大隣憲司投手/近畿大)との比較でなんかな?
金刃 大隣の方が上だと思っていますよ。
ただ、同じリーグで、同じ学年ですから
「はい、そうですか」と負ける訳には行かない。
その為に自分はやることがあるんですから。
ただ、ホンマに良いライバルやと思っています。
追い付こう!追い越そう!と明確になりますからね。
−3年前は「甲子園組に負けない!」という目標だったけれども
ライバルという存在が絞れて来たのは成長の証しなんやろうね。
金刃 どうなんでしょう?ただ、甘い世界ではないですからね。
そういう意味では漠然としたものではなくなっていると思っています。
高校時代は大谷(智久投手/早稲田大)や宮本(賢投手/早稲田大)に
追い付けそうもなかったですけど、ソコソコの勝負は出来るかなって(笑)。
−せやけど、金刃君は話しが巧くなったよね。
別に昔がヘタやったという訳ではないけれど(笑)。
金刃 そうですか(笑)。どうなんでしょう?
まぁ、さっきも言いましたけれど、副将という新しい役割に就いたことで
視野も広がって来ましたし、監督やコーチと話す機会も増えました。
それで野球以外の部分も成長出来れば良いんですけどね。
−間違いなく成長しているし、成長出来ると思うよ。
ところで、昨秋のノーヒットノーランのことを聴くの忘れていた(苦笑)。
(※06年9月24日/対京都大1回戦)
僕は浮気していて、他の試合(京滋大学リーグ)を観に行っていて
残念なことに観れんかったんやけれども(苦笑)。
金刃 あまり調子が良くなかったんですよね。
−翌日の新聞にもそう載っていたし、
夜に電話で話した時もそう言っていたよねぇ。
金刃 はい、そうなんです。
ズーッといつか打たれるやろうと思っていましたからね。
ただ、西川(喬将捕手/新主将)と相談しながら、
西川のリード通りで丁寧に投げただけなんです。
だから、試合後はどうにか投げ切ったという感じもありましたし、
エースとして「1戦目やのに調整はどないしとったんや!」
という不満みたいなものもあったんですよ。
で、嬉しくないみたいな書かれ方をしてしまいましたね(苦笑)。
まぁ、今では悪いなりにも試合を作れるという
大きな自信になった試合だと思っていますけれども。



左足の使い方だけ
勝つことで評価は上がって行くと信じている

−金刃君は完璧主義者やからねぇ。
金刃 はい、監督にもそれはよく注意されます(苦笑)。
神経質になり過ぎるなと、時には適当さも必要だと。
−そうかも知れんね(笑)。
で、今年、技術的に意識していることとかは?
金刃 球種を増やす予定はないですね。
フォームのこともあまり考えんとこうと(笑)。
まぁ、ノートに書き記したり、
石井さん(一久投手/東京ヤクルト)の連続写真は
真似ではなくて良いところを参考にしていますけど。
−それは具体的に言うと? 関西5リーグ対抗戦でのマウンド
金刃 左足(軸足)の使い方ですね。
どう説明して良いか分からないんですけど、
股関節にシッカリと乗るみたいな感覚ですね。
そうだと右足が突っ張らずに右肩も開かない。
自分が求めているキレとノビ、真芯で捕らえられないというのは
そこがポイントになると思っています。
あとは低目に投げることと、
自分の状態(良い・悪い)を知るということですね。
−なるほどねぇ。
最後に今年の目標を語って貰おうかな。
金刃 とにかく勝つことだけです。
アマNo.1の投手がいてますからねぇ(笑)。
まず、リーグ戦で大隣に勝てば自分の評価も上がるだろうし、
チームにとってもこれ以上ない大きな自信になりますから。
−その通りやね。
是非、頑張って下さい!今年も活躍を楽しみにしているよ。
金刃 はい、頑張らないと! 関西学生リーグ選抜チームで
高校時代の後輩・宮西(関西学院大)と共に



《金刃憲人(かねと・のりひと)プロフィール》


1984年4月10日生=21歳 177a・83`
左投左打 血液型/B 出身地/兵庫県
園和北小−園田中−市立尼崎高−立命館大

小1より園和北フレンズ(軟式)で野球を始める。
小5から兵庫尼崎(ボーイズ)で硬式に転向。
3番エースで全国大会優勝を果たした。
中学時代は腰痛に悩まされたが、
地道な治療とトレーニングで克服。
市立尼崎高では1年夏から登板機会を得る。
甲子園出場の夢こそ叶わなかったが、AAA代表に選出された。
立命館大では1回生秋に3勝を挙げると、その後はコンスタントに活躍。
2回生春・秋はリーグ戦連覇に貢献して、
最優秀選手賞(2回生春)も獲得した。
現時点で大学通算17勝は大隣(近畿大)の13勝を上回っている。
持ち球はは140`台中盤のストレートを軸に
スライダー(縦と横の2種類)、スプリット、パームを駆使する。


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