【第10回インタビュー/大隣憲司投手(近畿大)】             取材・構成・写真/島尻譲

“近大の江夏”は大胆で繊細
今季、こだわりたいのは…とにかく日本一!

大隣憲司は人気者である。
明るくて、人懐っこい性格で他校の先輩たちからも可愛がられている。
僕もそのような大隣に魅力を感じているし、
実際、気兼ねなく話しが出来る選手の一人。
だが、それは大隣の『表の顔』であるようにも感じている。
大胆で豪快な印象ばかりが先行するが、
それ以上に繊細で優しいハートを持っているのである。
大隣の投球を観れば観るほど、
大隣と接すれば接するほど、それは推測から確信になった。
仮面をかぶっていると言うと聞こえは悪くなってしまうかも知れないが、
良い意味で投手としてこれはとても大事な要素。
アマ球界No.1と評される左腕に今後も要注目だ!
Kenji Ohtonari #20


※インタビュー 06年2月8日 近畿大野球部開明寮にて

今は順調そのものですよ
日本一を目指すだけ!

☆練習中の近畿大ナイン
そして、練習の合間に大隣が僕のところへ歩み寄って来る。
「ちわっす!あっ、今日はインタビューやったんや。
今、島尻さんと会うて思い出しましたよぉ(笑)」
ホンマにトナリは大物である(爆笑)。

☆寮の応接室
−じゃあ、ヨロシク頼みます。いつも通りザックバランに(笑)。
大隣 はい、お願いします!
−今の調子はどないなん?
大隣 やっと試験が終わって、これからっすね。
でも、ホンマに今は順調そのものですよ。
昨年はケガで春も夏もOP戦で放れてないんで、
今年はちゃんとOP戦で放って、リーグ戦に入りたい。
だから、キャンプ(呉)でも無理して追い込まない。
良い意味で無難に行こうと思っています。
最低限のことだけはシッカリやりますけれどもね。
−昨年は榎本(保)監督も
「トナリはリーグ戦中に投げ込みをしよるんですわ(苦笑)」
と言うてはったけど、不安はあったの?
大隣 不安はなかったですけどね。
でも、立場的にも『ぶっつけ本番』はダメでしょう(笑)。
これからの野球人生も考えて、ちゃんと仕上げたいですし。
−そうだよなぁ、なんせ大注目やから(笑)。
進路のこともよく新聞に書かれているけれども。
大隣 まぁ、全く考えてない訳じゃないですけど、
周りが考えている程ではないですよ。ホンマに真っ白なもんです(笑)。
まずはリーグ戦で優勝して、神宮に行って、
それで日本一を目指すということだけですよ。
そうしたら結果は付いて来ると思っていますから。



良いところは認めているという関係
カーブを放れたら良いですね

−金刃君(憲人投手/立命館大)とよく比較されるけれども。
昨秋は2回、延長13回を投げ合った訳やし。(1勝1分)
大隣 う〜ん、自分はそんなに意識していないんですよね。
ただ、ピッチャーとしては負けたくないし、
良いところは認めているという関係やと。
ライバル心というのは強くないんです。
それに話しするようになったのも延長戦を投げ合ってからですよ。
5リーグ対抗戦(関西学生リーグ選抜)とかで
一緒になったこともあったんですけど、話す機会がなくて。
まぁ、金刃も話し掛けないと話さないみたいなタイプじゃないですか。
自分も1回、話せば大丈夫なんですけど、基本は人見知りですからね。
−えっ、人見知りなん?
大隣 そうっすよ。島尻さんともそうですもん(笑)。
金刃とは延長戦の後に球場(南港中央球場)の出口でたまたま会って
お互いに『お疲れやったなぁ』みたいな感じで。
それが金刃との初めての会話ですよ。
−へぇ〜、そうやったんや。
ところで、球種が少ないとか言われることもあるようやけど。
大隣 それは日米の時にも言われましたね。
東京で焼肉屋に行った時に河原井(正雄)監督(青山学院大)も
いてはって『こっちに来いよ』と呼ばれたんです。
それで『お前のストレートはスゴイのは認める』って。
でも、石川(雅規投手/東京ヤクルト)が良い例だと。
ビックリするようなストレートがなくてもプロで通用するって。
だから、カーブを放れたら良いですね。
高校(京都学園高の時は放れたんですけどねぇ。
スライダーを覚えるので封印していたら、
抜き方が分からなくなってしまったんですよぉ(苦笑)。
ブルペンでは曲がるんですけど、試合で使えるもんじゃない。
昨秋も廣末さん(慎内野手/関西大)に打たれてから
一球も放っていませんからね。
−そうかぁ。で、全国大会は勿論、日米を経験して良かったことは?
大隣 やっぱり、高いレベルの投手と接することが出来たことですね。
まぁ、みんなそれぞれのスタイルがあるんですけど、
平野さん(佳寿投手/京都産業大→オリックス)や
八木さん(智哉投手/創価大→北海道日本ハム)は真っ直ぐで押す。
松崎さん(真吾投手/東北福祉大→東北楽天)や
高市(俊投手/青山学院大)は変化球の使い方が巧い。
で、最終的にはキレ、ノビ、コントロールが大事なんですけどね。
−その為にフォーム的に注意していることは?
大隣 右足が地面に着いた時に軸足(左足)に重心が残っている。
そのバランスとボールを前で放すということ、自分はそれだけです。
コントロールに関してはピンチになればなるほど自信ありますしね。



経験を積んだことでの反省
同じ失敗はしたくない
−ところで、昨春(準優勝/対青山学院大)と
昨秋(初戦敗退/九州産業大)、どっちが悔しかったん?
大隣 それはやっぱり…秋ですよね。
春は流れ的にも悪かった。エラーも絡みましたしね。
秋はホンマに甲藤さん(啓介投手/近畿大→福岡ソフトバンク)に
頑張って欲しかったんですよ。
−それは関西地区代表決定戦が終わってからも言うてたよね。
大隣 はい、ホンマにそう思っていましたから。
まぁ、甲藤さんだけでなく、他の先輩たちにも
『ここで終わらせてしまったなぁ…』という気持ちが強かったです。
関西5リーグ対抗戦では −でも、あの試合後に流した涙は良い涙やったね。
他連盟の選手や関係者を驚かせる好投 堂々としていたし、何かこれからの糧になるような気がした。
大隣 自然と涙は流れていましたね。
そうそう、あの時、新聞記者がたくさんいたじゃないですか。
それでメッチャ難しいこと聴いて来たでしょうっ!
−助けを求めて来た時やな(笑)。
大隣 そうです。『もう1回お願いします』とか言えないし…。
で、横を見たら島尻さんがいたんで助けを求めたんですよ。
自分、人見知りっすから(笑)。
−そうやったんや(笑)。
で、その負けてしまった試合で学んだことは?
大隣 風が冷たくて、アップしても体が温まらなかった。
肩は温まっても、とにかく体が温まらない。
どんなコンディションでもシッカリ試合に入らなアカンなと。
経験しないでちゃんと出来れば良いんですけどね。
でも、もう同じ失敗は絶対にしないです。
−なるほどねぇ。
じゃあ、今年はさらにレベルアップしたトナリを観ることが出来るなぁ。
日米大学選手権でも実力を発揮 では、最後に今年の抱負を。
大隣 第一はケガをしないように。1年間、フルに活躍することですね。
そして、とにかく日本一。これしかないです!
−その目標に向かって、頑張って下さい。楽しみにしています。
大隣 はい、ありがとうございます。頑張ります!!

力強くてシュアな打撃も必見! チームメートと共に(写真の一番奥)



《大隣憲司(おおとなり・けんじ)プロフィール》
1984年11月19日生=21歳 174a・86`
左投左打 血液型/A 出身地/京都府
久世西小−久世中−京都学園高−近畿大

小1より久世少年野球部(軟式)で野球を始め、全国大会にも出場。
中学進学後は京都ライオンズ(ボーイズ)へ。
京都学園高では3年春に近畿大会優勝の原動力となった。
近畿大では2回生春から頭角を現す。
150`に迫る重みのあるストレートに
精度の高いスライダー、チェンジアップ、フォークを操る。
05年のリーグ戦連覇の軸で、春は5勝を挙げて最優秀選手賞を獲得。
また、大学選手権では
初戦の札幌大戦で1試合19奪三振の大会記録を更新して、
大会通算防御率0.00と驚異的な数字を残した。
ドッシリとした体格の左腕なので“近大の江夏”の異名を持つ。
これは榎本監督が“ウチの江夏”と発言したのがネタ元である。


(c)2004- Kochiama All RightsReserved.

前のページへ戻る
トップへ戻る