【第1回インタビュー/染田賢作投手(同志社大)】        取材・構成・写真/島尻譲

自信を付けた『完全男』
夢に向かって でも、その前に

Kensaku Someda #15

04年4月3日
関西学生春季リーグ開幕戦。

西京極球場には同大の新エース・染田賢作が立っていた。
京大の先頭打者から空振り三振を奪ったのを皮切りに
三者凡退という上々の立ち上がりを見せた。
そして、球審のプレーボールの声が掛かってから2時間18分後。
最後の打者を二ゴロに打ち取ると、
染田は同大ナインの歓喜の輪の真ん中にいた。

投球数は99で許した安打が0本ならば、与四死球もなし。
そして、味方も好守で染田を盛り立て無失策。
染田はリーグ史上初(旧関六時代含む)となる
『完全試合』を成し遂げたのだ!

そして、この夏は。
国際試合(日米、世界選手権)で日本代表メンバー入りも果たす。
堂々としたマウンドさばきで結果も残した。

(c)2004- Kochiama All RightsReserved.

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※インタビュー/04年7月16日(同志社大学体育ハウス2内応接室)

結果を出すことで受け入れられた
国際試合での好結果も自信に


―明日から東京で合宿。そして、台湾出発(世界選手権大会/台湾)なんやけど。

染田 
今回で3回目の召集(選考合宿、日米大学野球選手権)なので少しは余裕が出て来たんですけれども。台湾は藤田(一也内野手/近大)もいますし。でも、これまで2回は「帰りたい」って言うか(苦笑)。もう何もしなくても疲れるんですよ精神的に。 周りのメンバーも有名人ばっかりで東京のメンバーも多いですし。あと、東北福祉大のメンバーも固まりますからね。

―染田君やって有名人やんか(笑)。

染田 
いやいや、そんなことないですよ。ホンマ、自分なんて。いつもホテルのロビーとかでも隅っこの方に。そんなんでした(笑)。

―仲良くなったメンバーとかは?

染田 
三木(均投手/八戸大)とか中田(賢一投手/北九州市立大)ですね。

―地方リーグやん(笑)。

染田 
そうなんです。ロビーの隅っこの方でヒッソリと(笑)。あっ、西谷(尚徳内野手/明大主将)とも仲良くなりました。メールとかしますもん。彼はホンマにガッツがあるし、チームも盛り上げるし、気配りも出来る。ええヤツですよぉ。

―東京のメンバーとも仲良くしているやん。じゃあ、徐々に代表チームにも溶け込んで行ったんやね。

染田 
そうですねぇ。まぁ、やっぱり試合で結果を出すことで認められるようにもなって来たみたいな。そんなところもありました。

―練習試合(×ホンダ/2回無失点))、日米(1戦目/3回無失点、5戦目/1回2/3無失点)やもんなぁ。
  しかも被安打は1本だけ。

染田 
特別、調子が良かったということはないんですけど。リーグ戦の疲れもありましたし、メッチャ練習していた訳でもなかったんで不安もあったんですけどね。でも、なぜか抑えることが出来ました。

―自信になったでしょう。

染田 
それはありますね。やっぱり自信は付きました。あと、一場(靖弘投手/明大)とか那須野(巧投手/日大)らと一緒に練習したりすることで勉強にもなりました。やっぱり、一場はストレートに力があるし、那須野は球持ちが良いからスピードガンの数字以上に速く見える。荻野(忠寛投手/神奈川大)や福田(聡志投手/東北福祉大)も良かったですねぇ。

―でも、染田君も他の投手陣にはそう思われていたんちゃう。それだけ抑えていたんやから。

染田 
いやいや、僕はもうただ謙虚に懸命に放るだけですから(笑)。まぁ、短いイニングが多かったので…リーグ戦の時と違って、あまりペース配分とかも考えなくて良かったですし。元々、思いっ切り投げるのは得意ですから。だから、長いイニングですよね。今後の課題は。

―せやけど、年明け(2月)に取材した時は「自覚はありますけど、まだ4勝しかしてないピッチャーなんで」って言っていたのが、スゴイ遠いところへ行ってしまったなぁ(笑)。

染田 
いやいや、自分なんてホンマにまだまだですよ。

 

6月の関西5リーグ対抗戦
関西学生選抜のユニフォーム姿

最高のスタート
あれで堂々とマウンドに立てるようになった


―春のリーグ戦を振り返って貰いたいねんけど。
  ズバリ、開幕戦(×京大)から。

染田 
あんまりOP戦で調子が良くなかって…。
でも、最高のスタートが切れましたよね。当然、自信にもなりましたし、 いかに堂々としてマウンドに立てるかということ。それがあの試合で分かるようになりました。


―その『完全試合』を達成した時。「まだ実感がないんで、これから浸ります」みたいなことを言うてたけど、ちゃんと浸った?

染田 
実はあんまり浸ってないんですよ。次の日にはもう次のこと(×関学大)のことを考えていたんで(苦笑)。次も続けなきゃ意味がないって。記事が載っている新聞も買っていないんですよ。まぁ、親はちゃんと買っていたみたいですけどね(笑)。

―その次の関学大戦で好投(14回2/3で205球、失点3・自責1)も3×4(延長15回)でサヨナラ負け。しかも、高校(郡山高)の後輩でもある松並(由樹内野手)にサヨナラ打を食らってしまった。

染田 
しゃあないと思う部分もありましたけど、正直、メッチャ悔しかった。でも、1試合目を任されるエースとして最後まで投げることが出来たというのは大収穫。どんどん腕も振れるようになりましたし。結果はともかく2試合続けて、内容が良かったのも自信になりました。その後は運が良かっただけなんですけれど。打たれても野手の真正面とか(笑)。6勝こそ出来ましたけど、最後はヘバって…神宮も逃しましたし。

―運だけではこんな注目されへんがな(笑)。もう関西学生リーグでは「俺は染田やぞ!」みたいな。

染田 
そうやったら良いんですけど、もう秋のリーグ戦のことで頭がいっぱい(笑)。続けて勝てるピッチャーでないと意味がないですから。代表とかの合宿、遠征、試合が多いので不安もありますよ。せやからシッカリしないと。


夢が現実へと近付いて来た感じ
でも、その前に


―それにしても、ホンマに謙虚で真面目やねぇ。ドラフト候補、自由獲得枠にも名前が挙がっているくらいやのにぃ。

染田 
ホンマ、自分なんかで良いんすかね(笑)。って言うか、自由獲得枠なんてとんでもないですよ。そりゃ、評価して貰えるのは嬉しいですし、自由獲得枠で行けるなら行きたいですけど(笑)。でも、まだ自分はそんな選手じゃないですよ。

―でも、だいぶプロという世界は意識出来るようになったんちゃう?

染田 そうですね。これまでも上で野球を続けたい。そういう目標を持って、やって来ました。で、社会人で続けるにしても、プロで続けるにしてもこの春が大事なシーズンになると充分に理解していました。そして、僕だけの力じゃなくて、良い成績を残すことが出来た。だいぶ夢が現実へと近付いて来た感じですね。ただ、上で続けるだけで良いということでもないですしね。せやから、まだまだ頑張らんといけないんです。自分なんか足りないところだらけですから(苦笑)。

―投手に専念してから4年(郡山高時代は三塁手兼投手)やもんね。

染田 
実質、リーグ戦で投げ始めたのも昨年からみたいなもんですから。まだホンマにピッチャーとしても経験不足なんですよ。

―経験不足でも『完全試合』は出来ると(笑)。

染田 
いや、あれもホンマに桑原(宏弥捕手/同大主将)のリードが良かったし、バックにも守って貰ったからです。

―主審との相性も良かった(笑)。

染田 
それもありますねぇ(笑)。

―翌日に初先発を控えていた田林(正行投手)の為にもって言うてたよね。

染田 
僕も初先発の時は不安と緊張でいっぱいやったんですよ。でも、渡辺さん(亮投手、現日本生命)が完封してくれてメッチャ楽になった部分があったんで

―優しい男やわ(笑)。では、最後に抱負を。

染田 
まずは世界大会で出番があったら頑張ります。そして、リーグ戦でも。今回(日米)、神宮で放らせて貰いましたけど…やっぱり同志社のユニフォームを着て、神宮のマウンドに立ちたいですから。

―秋はリーグ戦で優勝してから、関西地区(5リーグ)の代表決定戦もある。それを勝たんと明治神宮大会には出られない。

染田 
確かに楽ではないんですけど、とにかく神宮へみんなと行きたい。それしか考えられないです。

―なるほど。忙しいのにホンマ、ありがとう。今後のさらなる活躍を期待しています。

染田 
はい、頑張ります。こちらこそありがとうございました。

《染田賢作(そめだ・けんさく)プロフィール》

1982年6月21日生=22歳 181a・79`
右投右打 出身地/奈良県
榛原小−榛原中−郡山高−同志社大

小学校時代はサッカー少年。
中学に進んでから野球を始めた。
(ポジションは投手、三塁手、外野手)
郡山高時代に甲子園出場あり。
同大入学後、投手に専念するが、下級生時代は故障に泣いた。
昨秋までは11試合の登板で4勝4敗 防御率1.94であったが、
今春、
10試合に登板して6勝3敗 防御率0.84(完封勝利5)で
一気にブレイク!

150`に迫る速球とフォークのコンビネーションが武器。
右打者外角(左打者内角)のクロスボールにも威力あり。

この夏の国際試合(日米、世界選手権)でも好投。
今秋のドラフト注目選手である。

【インタビュー後記】
人懐っこい笑顔を浮かべ、いつも謙虚でシャイな染ちゃん。
誰からも信頼されて、愛されているキャラクターであるのも納得。
インタビュー中も
「お茶どうぞ」
と何度も冷たいお茶を注いでくれた。

しかし、一度、マウンドに上がれば。
堂々としたマウンドさばきで打者に向かって行く。
時にはマウンドを降りながら、
大きなアクションで捕手からの返球を受けるなど
闘争心も表れるようになった。

ちゃんと携帯メールも送ってくれるんです。
意外と言うか、絵文字を駆使する染ちゃん。
こちらも負けじと絵文字を駆使して返信します(笑)。